2009年7月13日

「いちご白書」をもう一度♪バンバン

今年に入ってからヒトカラに目覚めてしまったのでした。「ヒトカラ」とは1人でカラオケ(ボックス)に行くことで、2人なら「フタカラ」、3人以上は「タカラ」と呼ばれています。ヒトカラではタカラのルールである空気を読むことが要求されません。バラードだろうが演歌だろうが懐メロだろうが女性曲オク下だろうがアニソンだろうが洋楽だろうが、同じ曲を何度繰り返そうが、気にする他人は誰もいません。

おまけに、大半のカラオケ店では1人いくらの料金体系になっているため、ヒトカラはコストパフォーマンスが抜群に(申し訳なく思うくらいに)いいのです。当たり前です。1人で行くと、自分が歌っている間は飲み食いはできません。そして、歌うのは自分しかいません。たとえば昨日の場合、私は比較的高めの店に行きましたが、冷房付の個室を5時間ほど独占して、支払いは2010円(ソフトドリンク2杯、フード2品込み)でした。

さて、カラオケのメーカーは現在では3社にほぼ集約されています。最大手は歌い終わった後に消費カロリーが表示されるDAMの第一興商、2番手は「前奏△秒」の表示があるUGAのBMB(USENの子会社)、そしてJOYのエクシング(ブラザー工業グループ)です。2次会のタカラでは機種に対するこだわりなどないでしょうが、ヒトカラ族(ヒトカラー)にとっては深刻な問題です。ヒトカラーの多くは各機種の採点ゲームを楽しんでいるものと思われるからです。

この採点ゲームは複数でやるより1人でやったほうが面白いのです。なにしろリアルタイムで(曲単位の)全国順位が出るのですから、わざわざ複数で行って競う必要などありません。「ヒトカラ」という言葉がなかった時代でも、主にシルバー世代や練習目的のヒトカラーは存在していたのでしょうが、中高生にまでヒトカラが浸透し始めたのは、この採点ゲームがきっかけのようです。

昨日はプレミアDAMでちょうど50曲歌いました。精密採点2によるベストナインは次のとおり(9位同点のため10曲、カッコ内は音程点)でした。

  1. 84(85)★「いちご白書」をもう一度♪バンバン
  2. 83(89)★大きな玉ねぎの下で♪爆風スランプ
  3. 83(84)★夢芝居♪梅沢富美男
  4. 82(89)★思い出通り雨♪ふきのとう
  5. 82(88)★やさしさとして想い出として♪ふきのとう
  6. 82(87)★青空の翳り♪太田裕美
  7. 82(86)★夢の途中♪来生たかお
  8. 82(84)★揺れる想い♪織田哲郎
  9. 81(87)★幸せな結末♪大滝詠一
    81(87)★万里の河♪CHAGE & ASKA

「いちご白書」をもう一度(1975年/バンバン)
作詞:荒井由実/作曲:荒井由実/編曲:瀬尾一三

今回1着の「いちご白書」はタカラではほとんど歌ったことのない曲で、精密2では4回目です。過去3回は80、82、78でした(生音バージョンは1回歌って80点)。たしか高校1年のとき、夏休み(前?)のキャンプで合唱した記憶があります。私の隣からは「二人だけの眠りー」と歌っているように聞こえましたけど、何も言いませんでした…。

まあ、私の世代なら苦もなく歌える曲の1つです。就職が決まってから髪を切るのではなく就職を決めるために髪を切るのではないかとツッコミたくなりますが、当時はそんなことなど考えませんでした。「ルージュの伝言」とハイファイセットの「卒業写真」が75年2月、「いちご白書」が8月、「あの日にかえりたい」が10月、当時のユーミンは21歳です。

やがて大学に入った私は、ある日、近くの名画座に行きました。大学生とはそういうものだと思っていたからです。上映していたのは「ローマの休日」でした。私の名画座通いはその1回きりです。というわけで、今に至っても映画の「いちご白書」を観たことはありません。

ところで、名曲であるがゆえに各社ともバリエーションが豊富です。各サイトによれば、バンバンだけでもDAMが3つ、JOYは2つ、UGAは8つもあります。

 +2 DAM 1526-01
 +2 DAM 1526-03(生音)
 0 DAM 1526-05(名演)
 0 JOY 946
 #2 JOY 112681(スゴオト)
 +2 UGA 1453-01
 +4 UGA 7764-66(スタ録)
 +2 UGA 7521-26(G)
 +2 UGA 7576-23(Hip)
 +2 UGA 7526-32(フォーク)
 +2 UGA 7564-98(ボサ)
 +2 UGA 7594-46(R&B)
 +2 UGA 7503-55(レゲエ)

私はJOYのノーマルバージョンで苦戦しました。キーが下げてあるスゴオトバージョンでは95人中19位で94点台中盤でしたが、原キーのままのノーマルバージョンでは342人中129位の91点台前半だったのです(いずれも5月)。タカラ時代なら「今日は調子が悪い」か「もう飲み過ぎだ」で済ませていたに違いありません。

外部リンク
clubDAM>DAMステーション>精密採点II

2008年6月13日

和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか|佐野真

●書名:和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか
●著者:佐野真
●版元:講談社現代新書
●出版:05年07月第1刷
●定価:740円(税別)
●評価:400円以下なら

03年に14勝してパの新人王を獲得したホークスの和田毅は、その後も10勝、12勝、14勝、12勝と安定した成績を残しています。ストレートなタイトルですので、内容はパスします。私は和田よりも著者の佐野氏に関心があります。カバーの見返しには次のように記載されています。

1970年生まれ。東京都出身。立正大学文学部卒業、日本棋院出版部に勤務した後、2001年にフリーライターに転身。現在は読売新聞と東京新聞で囲碁の観戦記者を務めるとともに、大学時代の野球経験を生かし野球ライターを手がける。

3回繰り返した“28人目の悲劇”で有名な西口文也は立正大のOBです。西口は1972年10月生まれです。素直に考えると、佐野氏は西口の2コ上ですから、元ヨークベニマルの大河原弘道と同期ということになります。早生まれなら、元一光の西尾享祐や元朝日生命の長谷川純一と同期です。

ただ、私が調べた範囲では立正大硬式野球部に「佐野真」の名前が見つかりません。まあ、「大学時代の野球経験」とは準硬式のことなのかもしれませんし、「佐野真」はペンネームかもしれませんが…。もし、ペンネームなら「佐野真一」氏とかぶるので、損になるような気もします。次作があるなら、読んでみたいライターです。

2008年6月9日

プロ野球 記録・奇録・きろく|宇佐美徹也

●書名:プロ野球 記録・奇録・きろく
●著者:宇佐美徹也
●版元:文春文庫
●出版:87年10月
●定価:440円(消費税法施行前)
●評価:定価以上

「記録を読む」と題して『ナンバー』誌に81年から86年まで連載されたコラムです。宇佐美氏は野球殿堂に選ばれるべき人物だと私は思っていますが、メディア関係では過去にNHKアナウンサーの志村正順氏と『野球界』記者の太田茂氏が殿堂入りを果たしています。

本書が「セットポジション」に与えている影響はすさまじいものがあります。

このように、ルーツをたどると本書に行き着くコンテンツは「セットポジション」にはわさわさあります。「最多ファウルは11本」は「農山」「ルールを変えた男」に発展しました。

宇佐美氏は本書あとがきで次のように述べています。
 「記録・奇録・きろく」の中で筆者が柱にしてきたテーマは3つある。
 1つは、スコアカードの中に埋もれている記録を1つで多く掘り起こしたいこと。
 2つ目は、選手個々がファンの目に焼きつけてきた名人芸の数々を、記録の様々な手法を駆使して表現してみたいこと。
 そしてもう1つは、内容のない形だけのインチキ記録や、作為に満ちた醜いタイトル争いや記録作りを排除して、プロ野球の記録を選手自身が誇り得る神聖なものにしていくための訴えを常に盛りこんでいくことだ。
 
(381ページ)
1番目はスコアカードを見ることができる立場になければできません。宇佐美氏を継承する人物はメディアにはいないのでしょうか。私はそういう立場にはありませんので、自分で見に行ってこつこつ集めています。私にできることは埋もれてしまいかねない記録を見逃さないようにするだけです。

2つ目は私もやりたいと思っていることですが、私のテリトリーはプロ野球だけではありません。それこそ誰にも知られることなく消えてしまう試合やプレイをせめてWebの中に置いておくことはそれだけでも十分に価値のあることだと考えています。

3つ目に関しては、ややスタンスが異なります。私は必ずしも記録を「神聖なもの」とは思わないからです。私は私なりに(たとえ局地的であれ)“宇佐美越え”を果たしたいものだと考える次第です。

2008年5月22日

高校野球「裏」ビジネス|軍司貞則

●書名:高校野球「裏」ビジネス
●著者:軍司貞則
●版元:ちくま新書
●出版:08年03月
●定価:720円(税別)
●評価:定価以上

高校野球特待生問題有識者会議は07年11月に最終答申をまとめました。その線に沿って、「特待生問題」は一件落着となるのでしょう。あれだけの反発を受けたあとですから、特待生を一切認めない結論にはならないという見通しは人選の段階でつきましたが、正直なところ、私はあまり期待していませんでした。

こうした外部諮問機関は妥当な結論を導くだけで、決して肝心なところには切り込まない(切り込めない)からです。田名部氏が本当に特待生を排除したかったとは私には思えません。特待生そのものの存在は周知の事実なのであって、田名部氏や脇村氏だけが知らなかったということなどあり得ません。

では、本丸は「野球留学」だったのでしょうか? 私はそうではないと考えています。田名部氏はかつて海外からの留学部員に関して水を向けられながら、決して否定的な見解を述べませんでした。私はブログ「特待生と野球留学」で次のように書いています。

特待生と野球留学>行き過ぎ

「行き過ぎ」の具体的な中身は私も一番知りたいところです。もともと田名部氏や脇村氏の中では、そこから話が始まっているはずなのです。こういう「行き過ぎ」があるから今回の措置をとったのだと言えば、脇村氏は悪役にならずに済んだはずです。
本書では「行き過ぎ」について触れられています。著者の軍司氏はノンフィクション作家であり、社会人野球のクラブチーム・WIEN'94の監督です。“砂利”の話は聞いたことがありましたし、“コンビニ”も私の想像の範囲内ですが、“クレジットカード”はちょっと思いつきませんでした。まあ、誰の名義で処理するのかが一番肝心ですけど…。

この「行き過ぎ」の問題は、高校野球だけで解決できることではありません。プロ、社会人、大学、高校、少年野球が1つのテーブルにつくことから始めなければならないはずです。高野連様は高校野球の入口の部分を問題にしたわけですが、その高野連様のいわば“教育の成果”としての出口にも問題が横たわっているはずです。

こうした問題を本当に解決しようとするなら(再発防止を最優先するなら)、まず過去について免責を与える必要があります。そうでなければ、真実が語られることはありません。「学生野球憲章に時効はない」などと力こぶを入れたら、語られるはずの実態を誰も語れなくなってしまいます。

2008年5月11日

冬の巡礼|志水辰夫

●書名:冬の巡礼
●著者:志水辰夫
●版元:角川文庫
●出版:97年10月(単行本94年10月)
●定価:546円(税込)
●評価:400円以下なら

列車を下りたのは3人。わたしをのぞくふたりは女子学生と五十年配のショールをかぶった女性で、いかにももの慣れた足取りで駅舎を出るとすぐさまいなくなった。<略>誰もいない待合室の中で石油ストーブが燃えていた。<略>駅周辺にはひとっ子ひとり見あたらなかった。 (3-4ページ)
この冒頭の描写で、私はあいづ球場に行ったときのことを思い出しました。私が下りた無人駅は会津鉄道の南若松駅でした。季節は冬ではなく夏。下りたのは私を含めて2人です。第1試合に間に合うように球場に着くにはこの電車しかないはずなのに、始発駅の西若松駅ではそれらしい乗客が見当たりませんでした。

私は不安に襲われていました。 実は私は地図を忘れていたのです。第1試合は10:30開始予定です。南若松駅到着は10:03で、駅から球場まではまっすぐ約1キロですから、場内アナウンスにちょうど間に合う頃合いです。時間帯からして、どうせ乗客の誰かしら球場へ行くに違いないと踏んでいたら、とんでもない話です。

一緒に下りたお爺ちゃんは、駅前広場?で周辺施設の案内板を探している私を追い越して軽やかな足取りでずんずん進んでいきました。駅前の通りは交通量が比較的多いのですが、車の往来は激しいのに、歩いている人がいないのです。まあ、田舎ではよくあることです…。

駅前には店もないので、誰にも聞けません。あいづ球場には照明設備がありませんから、照明灯を頼りに進路をとることもできません。駅に引き返して待合室を覗いてみましたが、電車は出たばかりです。誰もいなくて当然です。室内の掲示物では球場の場所はわかりません。私は1人取り残されたのでした。

困り果てていたら、高校生らしい白シャツを乗せた貸切バスが踏切を越えて右側に進んでいくのが見えました。迷っていても仕方がないので、あとを追うことにしました。しばらく歩くと、向こう側からチャリが来るのが見えました。これを逃してはなりません。私は歩を早めました。なんと、舞い降りたはずの天使は20m先の信号で右折してしまったのです。

「おーい、待ってくれ~」と叫びたいのをこらえていたら、道路の反対側の家で庭の草むしりをしているお婆ちゃんが目に入りました。天使は身近なところにいたのです。赤信号で停車した車を縫って、私は反対側に渡りました。言葉はあまりよくわかりませんでしたが、指さした方向は私の判断と同じでした。

さて、この小説は野球とはまったく関係ありません。志水辰夫を最初に読んだのは『飢えて狼』だったはずです。私の中では、泡坂妻夫、天藤真と並んで国内ミステリーのビッグ3であって、2人を出した以上は志水辰夫も出さざるを得ないわけです。 ちょうど先日、まだ読んでいない本書を古本屋で見つけました。250円でした。

主人公の「わたし」は菅井工務店の契約社員です。下請けの城南建設作業員・坂倉博光が謎の死を遂げます。特別に親しかったわけではないのに、坂倉は死の前日、「わたし」に実家の住所を記したメモとともに位牌を預けていました。

「わたし」はその位牌を坂倉の母に届けるべく、雪深い飛騨高山の無人駅に下り立ったわけです。「わたし」はそこから命の危険にさらされますが、同じように無人駅で下りても位牌を預かっていなかった私には何事も起きませんでした。私はただ青春18きっぷを使いこなしただけでした。

この小説では「わたし」の勤務先の社長が魅力的な人物として描かれています。

喧嘩やもめごとは大好きで、いまでも仲裁など頼まれたら喜んですっ飛んで行くし、秩序や抑制や努力など大嫌いという連中を仕切らせたらそれは大変なものだ。 (180ページ)

事件を匂わせただけで、隠匿されている金の匂いを嗅ぎ取ってしまったのだ。本人はその金が欲しいとか、分け前に預ろうととかいう魂胆があって出しゃばってきたわけではない。こういう話になるとわくわくして、自分も一枚加わりたいだけなのである。だからわたしのすることにブレーキは絶対かけない。人を焚きつけたり、あおったり、事件が面白くなればなるほどうれしがる。もしそれで私が監獄へ放り込まれる羽目になったとしても、彼なら赤飯を炊いて送り出してくれるにちがいなかった。 (196-197ページ)

何を思ったか、独りごとみたいな声でつぶやいた。「女はいいよ。男の最後の逃げ場は女しかないんだ」
 名古屋にやってきた正体を見たと思った。このじいさん、まだまだ枯れていなかったのだ。この脂ぎった顔は、現役で通用している何よりの証拠だった。
 (206ページ)
この社長さんが事件の解決に活躍するのかと思っていたら、まったく期待はずれでした。志水辰夫の小説はハッピーエンドとは限りません。そうでないことが多いかもしれません。まあ、結末は書きませんが…。

2008年4月21日

2008公認野球規則

●書名:2008公認野球規則
●編集:日本プロフェッショナル野球組織/日本野球連盟/日本学生野球協会/全日本大学野球連盟/日本高等学校野球連盟/全日本軟式野球連盟
●版元:ベースボールマガジン社
●出版:08年04月第1刷
●定価:1000円(税込)
●評価:400円以下なら

阪急京都本線と千里線が交わる淡路駅には1番ホームがありません。あるのは2~5番ホームです。もちろん当初は1番ホームも存在したわけですが、廃止に伴い1番ホームの名称も消滅したそうです。繰り上げをおこなわず欠番としたのは混乱回避が主目的だったようです。

法律の条項も同じ考え方です。たとえば全17条の法律から第4条を削除した場合、第4条は欠番となり、繰り上げはおこなわれません。改正前も改正後も第5条は第5条のままです。第5条の次に新条項が追加されても、それが「第5条の2」となるだけで、第6条は第6条のままです。

2008年の『公認野球規則』では、記録に関する第10章で数カ所の改正がありました。旧10.05と10.06が統合されて新10.05になり、以下の条項はすべて繰り上げられました。旧10.13と旧10.14も統合されたため、去年までの10.15は今年から10.13になりました。おまけに、旧10.19(f)が新10.18になりましたから、旧10.20は新10.19です。

どちらが「美しい」かと言えば、後者に決まっています。ただし、それを学ぼうとする者にとっては迷惑な話です。去年までに書かれたものを読むときは、面倒な置き換えをしなければならないからです。実は「セットポジション」が受けた影響は甚大で、20ページほどに手を加える必要があります。

『公認野球規則』が市販化されたのは2006年ですが、私は1992年版から持っています。この間、第10章の改正はほとんどおこなわれておらず、事実上今回が初めてと言ってもいいくらいです。まあ、『公認野球規則』の改正自体はあちらで決めたことですので、日本の規則委員会に責任はないのですが…。

さて、08年版『公認野球規則』の「はしがき」には次のような記述があります。

昨年のプレイに関する規則の大改正に引き続き、今年は記録に関する規則が整理され、長年運用で処理したり、曖昧な解釈のまま放置されていた懸案事項がひとまず片付き、規則書の大掃除は一段落といったところか。

きっと、この「はしがき」を書かれた方はマゾの性癖があるに違いありません。これで「一段落」なら、私はまだ当分アホだのポチだのと言えるわけです。はい。