●書名:監督
●著者:海老沢泰久
●版元:文春文庫
●出版:95年01月第1刷(単行本=79年03月新潮社)
●定価:530円(税込)
●評価:定価相応
野球小説としてつとに有名な作品です。評も数多く出ています。どうやら絶版になっているようですが、古本屋を探せば比較的容易に見つかるはずです。新潮文庫版(82年)もあります。
本書は岡田オーナーの御前試合の描写から始まります。問題の7回裏は「1番からの好打順」だそうです。エンゼルスは7回表終了で5-0とリードされていることから、6回まで3者凡退を繰り返していたか、6回で9残塁だったか(18残塁の可能性もありますが…)です。
6回で9残塁無得点なら、かなり多いほうですし、もしエンゼルス打線が堀内の“完全”ペースに陥っていたのなら、観戦中の岡田オーナーが苛立っていてもよさそうですが、その辺りの描写はとくにありません。
ルール上、1イニングに6本のシングルヒットが集中しても得点できない可能性があるのですが、本書の冒頭部分には、ドンケツ・エンゼルスの「何とも信じられない」「真の奇跡」のシーンが描かれています。
- シングルヒット2本で無死1・2塁
- センター前ヒットで二塁走者が本塁タッチアウト、一死1・2塁
- レフト前ヒットで二塁走者が本塁タッチアウト、二死1・2塁
- 内野安打で二死満塁
- 一塁横の痛烈なライナーが一塁走者に当たってチェンジ(記録は安打)
私が見た「1イニング4安打で無得点」は03年4月12日の千葉県大学リーグ、国際武道大対城西国際大戦の4回裏城西国際大の攻撃(投手:比嘉)でした。
- 4番・石田 中安で無死1塁
- 5番・照沼 エンドランが右飛で石田戻れず2死
- 6番・宍倉 左安で2死1塁
- 7番・新井 遊安で2死1・2塁
- 8番・佐藤剛 左安で宍倉が本塁タッチアウト
さて、本書を読んだのはずいぶん前ですが、色褪せた付箋が1枚だけついていました。とても気になります。コーチとして迎え入れることになる渡会と広岡監督との会話の場面です。広岡達朗は37本塁打104打点で51得点の4番打者ハドソンを放出しようとしていました。
この付箋にはどんな意味があるのだろうと考えたワトソン君は、ある結論に思い至りました。きっと、マニエルの成績を調べろということなのだろう、と。というわけで、十数年前の疑問にチャレンジしてみます。たとえ忘れやすくても、ワトソン君はしつこいのです。
Wikipediaでチャーリー・マニエルの打撃成績を調べてみると、トレード前の1978年は39本塁打103打点で85得点です。77年の42本塁打70得点はさすがに問題がありそうですが…。まあ、やはり本書はフィクションとして読むべきなのでしょう。
ついでですから、本塁打王を獲得したことのある主な外国人選手の通算成績を比較してみます。
- 621試合368得点644安打189本塁打491打点 マニエル(76-81年)
- 510試合277得点479安打155本塁打371打点 ソレイタ(80-83年)
- 773試合512得点778安打259本塁打641打点 ブライアント(88-95年)
- 517試合331得点476安打160本塁打389打点 デストラーデ(89-92、95年)
- 756試合511得点813安打223本塁打594打点 ペタジーニ(99-04年)
- 827試合536得点923安打273本塁打686打点 カブレラ(01-07年)
- 684試合419得点716安打205本塁打539打点 ウッズ(03-07年)
本塁打を得点で割ると、マニエル51.4、ソレイタ56.0、ブライアント50.6、デストラーデ48.3、ペタジーニ43.6、カブレラ50.9、ウッズ48.9です。マニエルは6年で6盗塁、ソレイタは4年で2盗塁ですから、やはりマニエルはソレイタには負けていたようです。
外部リンク
■fj.rec.sports.baseball FAQ>プロ野球、好プレー・珍プレー、快記録・珍記録、珍事件
0 コメント:
コメントを投稿