2008年1月21日

個性を引き出すスポーツトレーニング|立花龍司

●書名:個性を引き出すスポーツトレーニング
●著者:立花龍司
●版元:岩波アクティブ新書
●出版:02年03月
●定価:735円(税込)
●評価:600円以下なら

古本屋で350円でした。アマゾンでは166円が最安値です。eBookJapanなどの電子書籍は588円(税込)です。

トレーニング論の中身に踏み込むのは避けたほうがいいと思われますので、必要なら外部リンクを参照してください。立花氏は本書で「だいたいの目安としては、少年野球の場合で1日に全力投球は50球まで。それを1週間に3日までと考えます」と述べています。(35ページ)

リトルリーグの投球制限は、10歳以下が1日75球、11-12歳は85球です。リトルの場合は登板間隔の制限もあるはずですが、その運用は一定ではないようです。ボーイズリーグの投球制限は、小学生は1日6イニング、中学生は1日7イニングだそうです(端数切り上げ)。学童軟式とボーイズは変化球を禁止していますが、リトルはOKです。

ところで、立花氏が近鉄バファローズのコンディショニング・コーチになったのは「10・19」の翌年です。日本シリーズは3連勝4連敗でした。さらにその翌年の1990年に野茂が入団します。野茂に寄り添う立花氏が一段とクローズアップされたわけです。

鈴木監督の就任が1993年で、同年オフに立花氏はマリーンズに移ります。野茂や吉井は94年オフにバファローズを去ります。確執がなかったはずはありませんが、本書には何も記述されていません。まあ、トレーニング論ですから、当然のことですが…。

選手からすれば、信頼できるコーチでなければ100%納得してアドバイスを受け入れることはできません。何でも話せ、相談でき、しかもそれぞれ選手に対していろいろな指導方法を提案できるだけの引出しをたくさん持っているかが重要です。 <略> 指導者は決して「偉い人」ではありません。「責任を取る人」です。本来なら指導者は常に新しい指導方法を学び、どんどん意識を変革していかなければいけません。この人は多くの知識を持っている「すごい人」だと思われるのが指導者のあるべき姿なのです。ところが本人や周囲が指導者を「偉い人」だと錯覚しているために、プライドが邪魔をしてなかなか方針を変えられないのです。(97ページ)

これは決して鈴木氏を名指ししたものではありません。文脈としてはマリーンズのコーチ時代の話から展開されているものです。ちなみに、鈴木氏は95年のシーズン半ばにお辞めになりました。

立花氏は去年までの2年間、東北楽天イーグルスに在籍していましたが、今年からマリーンズに戻りました。野村監督とも合わなかったのではないかと思わなくもありませんが…。

さて、重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、私としては看過できない誤りがありましたので、チェックを入れておきました。右肘手術からカムバックした小野和義が1991年に開幕10連勝をかけて対ライオンズ戦に登板したときのことです。

前半戦の最終戦、西武球場で先発した小野に、試合中、デストラーデの打球が当たってしまったのです。小野は足を押さえてその場にうずくまり動きませんでした。 <略> すぐさま救急車が呼ばれました。西武球場はすり鉢状になっているため、グラウンドからは100段近い階段を上らなければ救急車が到着する駐車場まで辿り着けません。私は小野を背負い、その階段を必死に上りました。 <略> 小野をおぶり、階段を上がっている最中、小野は明るい声でこう言ったのです。
「とりあえず明日、上半身のトレーニングはできるね」
胸が締めつけられました。 
(119-120ページ)

小野の足を直撃したのは、5番デストラーデのものではなく、6番石毛の打球でした。当時のスコアブックをめくってみると、一死満塁で打席に入ったデストラーデは3球三振に倒れています。空振り、見逃し、空振りですから、バットに当たっていません。

もちろん、バファローズ側の立花氏にとっては、誰の打球であろうと関係ありません。石毛の打球は一塁側に弾みました。表の攻撃で勝ち越しホームランを打ったばかりのトレーバーがこのボールを拾って一塁ベースめがけてダイビングしたのでした。

そうです。すっかり忘れていました。故障から復帰して破竹の連勝街道を突っ走る小野が投げていたからこそ、トレーバーのあのプレイが余計に印象的だったのです。

最後に、どうしてもこれだけは書いておきたいことがあります。大学3年までピッチャーだった立花氏は次のように述べています。

「高校野球で何を学んだか?」と聞かれたら「納得できないことでも大きな声で“ハイ”と返事をする方法」と答えるでしょう。 (11ページ)

外部リンク
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